単元株制度

* 単元株制度 *

定款に別段の定めがなければ、「1株=1議決権」です。

しかし、数千数万株発行している会社においては1株しか持っていない人に対しても株主総会の招集状を送ったりするのは大変コストがかかります。

そういうときは、前述の株式の併合を使う手もありますが、他にも方法があります。

全体の株数を変えることなく、数株まとめて1議決権とするような単元株制度というものがあります。

第188条
1 株式会社は、その発行する株式について、一定の数の株式をもって株主が株主総会又は種類株主総会において一個の議決権を行使することができる一単元の株式とする旨を定款で定めることができる。
2 前項の一定の数は、法務省令で定める数を超えることはできない。
3 種類株式発行会社においては、単元株式数は、株式の種類ごとに定めなければならない。


○ 一単元の株式の変更

第190条
単元株式数を定める場合には、取締役は、当該単元株式数を定める定款の変更を目的とする株主総会において、当該単元株式数を定めることを必要とする理由を説明しなければならない。
第466条
株式会社は、その成立後、株主総会の決議によって、定款を変更することができる。
第309条
2 前項の規定にかかわらず、次に掲げる株主総会の決議は、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(三分の一以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の三分の二(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない。この場合においては、当該決議の要件に加えて、一定の数以上の株主の賛成を要する旨その他の要件を定款で定めることを妨げない。
十一 第六章から第八章までの規定により株主総会の決議を要する場合における当該株主総会


☆株主総会が不要のとき

第191条
株式会社は、次のいずれにも該当する場合には、第466条の規定にかかわらず、株主総会の決議によらないで、単元株式数(種類株式発行会社にあっては、各種類の株式の単元株式数。以下この条において同じ。)を増加し、又は単元株式数についての定款の定めを設ける定款の変更をすることができる。
 一 株式の分割と同時に単元株式数を増加し、又は単元株式数についての定款の定めを設けるものであること。
 二 イに掲げる数がロに掲げる数を下回るものでないこと。
  イ 当該定款の変更後において各株主がそれぞれ有する株式の数を単元株式数で除して得た数
  ロ 当該定款の変更前において各株主がそれぞれ有する株式の数(単元株式数を定めている場合にあっては、当該株式の数を単元株式数で除して得た数)

第195条
1 株式会社は、第466条の規定にかかわらず、取締役の決定(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)によって、定款を変更して単元株式数を減少し、又は単元株式数についての定款の定めを廃止することができる。
2 前項の規定により定款の変更をした場合には、株式会社は、当該定款の変更の効力が生じた日以後遅滞なく、その株主(種類株式発行会社にあっては、同項の規定により単元株式数を変更した種類の種類株主)に対し、当該定款の変更をした旨を通知しなければならない。
3 前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。

191条と195条のどちらも、株主の議決権が減らないもしくは増える場合なので、株主総会の決議によらなくてもいいです。
 

○単元未満株主の地位

第189条
1 単元株式数に満たない数の株式(以下「単元未満株式」という。)を有する株主(以下「単元未満株主」という。)は、その有する単元未満株式について、株主総会及び種類株主総会において議決権を行使することができない。
2 株式会社は、単元未満株主が当該単元未満株式について次に掲げる権利以外の権利の全部又は一部を行使することができない旨を定款で定めることができる。
 一 第百七十一条第一項第一号に規定する取得対価の交付を受ける権利
 二 株式会社による取得条項付株式の取得と引換えに金銭等の交付を受ける権利
 三 第百八十五条に規定する株式無償割当てを受ける権利
 四 第百九十二条第一項の規定により単元未満株式を買い取ることを請求する権利
 五 残余財産の分配を受ける権利
 六 前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める権利
3 株券発行会社は、単元未満株式に係る株券を発行しないことができる旨を定款で定めることができる。


買取請求権

単元未満株主は、単元未満の株式を会社に対して買い取ってもらう請求が出来ます。

第192条
1 単元未満株主は、株式会社に対し、自己の有する単元未満株式を買い取ることを請求することができる。
2 前項の規定による請求は、その請求に係る単元未満株式の数(種類株式発行会社にあっては、単元未満株式の種類及び種類ごとの数)を明らかにしてしなければならない。
3 第一項の規定による請求をした単元未満株主は、株式会社の承諾を得た場合に限り、当該請求を撤回することができる。

:[1単元=100株]
              (買い取ってね)           (分かりました)
                     株主株式会社
              「単元未満株式」
                     80株

☆定款で定めた買増請求権

第194条
1 株式会社は、単元未満株主が当該株式会社に対して単元未満株式売渡請求(単元未満株主が有する単元未満株式の数と併せて単元株式数となる数の株式を当該単元未満株主に売り渡すことを請求することをいう。以下この条において同じ。)をすることができる旨を定款で定めることができる。
2 単元未満株式売渡請求は、当該単元未満株主に売り渡す単元未満株式の数(種類株式発行会社にあっては、単元未満株式の種類及び種類ごとの数)を明らかにしてしなければならない。
3 単元未満株式売渡請求を受けた株式会社は、当該単元未満株式売渡請求を受けた時に前項の単元未満株式の数に相当する数の株式を有しない場合を除き、自己株式を当該単元未満株主に売り渡さなければならない。
4 第百九十二条第三項及び前条第一項から第六項までの規定は、単元未満株式売渡請求について準用する。

:[1単元=100株]
                   (売ってよ!)               (分かりました)
             株主株式会社
         「単元未満株式」              「株式」
                        80株                 20株
           +20株
_
           100株=1単元

 


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