株式会社の設立手続A

* 設立方法 *
第25条
1 株式会社は、次に掲げるいずれかの方法により設立することができる。
 一 次節から第八節までに規定するところにより、発起人が設立時発行株式(株式会社の設立に際して発行する株式をいう。以下同じ。)の全部を引き受ける方法
 二 次節、第三節、第三十九条及び第六節から第九節までに規定するところにより、発起人が設立時発行株式を引き受けるほか、設立時発行株式を引き受ける者の募集をする方法

2 各発起人は、株式会社の設立に際し、設立時発行株式を一株以上引き受けなければならない。

会社の設立方法には発起設立募集設 立の2種類あります。

発起設立とは、発起人(「会社を設立しよう!」と行動を起こしている人)のみが、設立時発行株式を引き受ける設立方法です。

募集設立とは、発起人以外に設立時発行株式を引き受けてもらう設立方法です。

* 発起設立 *

第34条
1 発起人は、設立時発行株式の引受け後遅滞なく、その引き受けた設立時発行株式につき、その出資に係る金銭の全額を払い込み、又はその出資に係る金銭以外の財産の全部を給付しなければならない。ただし、発起人全員の同意があるときは、登記、登録その他権利の設定又は移転を第三者に対抗するために必要な行為は、株式会社の成立後にすることを妨げない。

2 前項の規定による払込みは、発起人が定めた銀行等(銀行(銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第2条第1項に規定する銀行をいう。第703条第一号において同じ。)、信託会社(信託業法(平成十六年法律第百五十四号)第2条第2項に規定する信託会社をいう。以下同じ。)その他これに準ずるものとして法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)の払込みの取扱いの場所においてしなければならない。

発起人は、将来できる会社に出資しなければなりませんが、その出資は金銭でも金銭以外の財産でもかまいません。
(※募集設立は、金銭のみ)

出資の払込みは、銀行もしくは信託会社にしなければなりません。
その際その証明として発起設立の場合は、残高証明もしくは保管証明で出資の証明が出来ます。

* 払込の仮装 *

出資をする際、出資金が集まらないあまり銀行とグルになったり第三者を使ってうまくごまかす人が出てきます。

そのごまかしのことを払込の仮装といいます。

払込(100万)

払込の仮装は2種類あります。

※預合(あずけあい)

                                     預金(100万)
     A株式会社B銀行
          
                                   
 発起人C
                (100万)

まず発起人CとB銀行がグル(通謀といいます。)になり、帳簿上の振替を行います。

つまり、CがBから出資金に足りないお金(ここでは仮に100万)を借ります。(借入)
そして、Aに払込をするためにBに100万を預けます。

実際に現金を動かすのは面倒で意味がないので、Bは帳簿の上でCからの払込を受けます。

ここで問題なのは、実際にA株式会社が出来て、出資された100万を使おうとしても使えないわけです。
自分の会社のお金なのに使えないというおかしなことが起きます。

なぜなら、BはCに貸した100万を担保としているのでCがBに100万返さない限り使えないからです。

これは商法上の犯罪になります。

借入(100万)
第965条
第960条第1項第一号から第七号までに掲げる者が、株式の発行に係る払込みを仮装するため預合いを行ったときは、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。預合いに応じた者も、同様とする。
 


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